見た感じ明らかにここは裏口で、王族が入ってくるような門には見えない。
「ルイ様、また無理言って、こっちに馬車回させましたね?
いいんですか。
正門に行かなくて。」
「こっちの方が自分の部屋に近い。」
やけに親しげな御者にそう言うと、私の手をとり馬車から降ろしてくれた。
「まあまあ!
おかえりなさいませ。」
そういって飛び出して来たのは、ふくよかな優しい雰囲気の中年の女性。
「ああ、
ユスク、手紙に書いていた…」
「ああ!」
ルイ様の言葉を最後まで聞かないでも、理解したらしいユスク様がそう声を上げる。
「カティーナさんとメイナさんですね、
遠いところからよくいらしてくれました。
お疲れでしょうし、しばらくゆっくりしてくださいな。」

