「着きましたよ。」
そう言って開けられたマントから強い日が差し込む。
「メイナ。
歩ける?」
「うん…。」
私たちが乗っていた荷台のような馬車から、メイナが降りるのを手伝う。
「ちょっと失礼。」
そういって手をかしてくれたのは、御者の方で、メイナを軽く抱きかかえて降ろしてくれた。
「ありがとうございます。」
地面に足が着いたからか、心なし顔色の良くなったメイナが頭を下げる。
「いえいえ。」
そのやり取りを聞きながら、馬車から降りようとすれば、
「手を。」
と差し出されたそれに顔をあげる。
「おや、ルイ様。」
そうおどけて言ったのは、私ではなく御者の人。
予想外の人物に目をみはる。

