執事と共にバレンタインを。

「あのかばん……」


恵理夜が呟いた時、車を置いてきた春樹が玄関へ入ってきた。


「大丈夫ですか」

「ええ、かばんを閉め忘れていたみたい」


白い箱だけは、かばんの中に引っかかり何とか無事だったが、他は全てぶちまけられてしまっていた。


「チョコレートだけは無事ね」


恵理夜は苦笑しながらそれらを拾い集めた。