執事と共にバレンタインを。

「あら、こっちにもいるのね」


恵理夜の背後からも一人襲い掛かってきた。

その拳が、恵理夜の顔を殴ろうとするが、2度空を切った。

そして、拳が空を切るタイミングで、恵理夜の手のひらが男の胸の真ん中を押していた。

――ドン、とした鈍い衝動。

ただ、胸を押されただけなのに息も絶え絶えになるようなものすごい衝撃が男を襲った。

そして男はあっさりと膝をついた。