執事と共にバレンタインを。

「随分な格好ですね、お嬢様」

その場にいる人間の間を縫うように、春樹は恵理夜の傍らに立った。

そして、完璧な仕草で膝を着いた。


「大丈夫でございますか」


春樹は、ポケットから取り出したハンカチで、唾液に汚れた恵理夜の口元を拭った。