執事と共にバレンタインを。

「春樹と二人で作ったんです」

「おお、そうか。春樹も、すまねぇな」

「いえ」


恵理夜はいたずらっぽく笑って念を押した。


「全部、食べてくださいね」


祖父はウィンクで返した。


「おめぇのは毎年必ず食ってるよ」


立場上、風俗関係の店などから、たくさんのチョコレートを貰うはずの祖父だ。

その祖父の言葉だからこそ嬉しかった。


「それじゃあ」


祖父は、チョコレートの箱を振りながら出て行った。