執事と共にバレンタインを。

老年に差し掛かっているのに、全く衰えない眼力が穏やかに恵理夜を捕える。


「すまなかったなぁ、恵理夜。わし等は、家族失格かもしれんのう」


と、祖父でさえも申し訳無さそうな顔をしている。

確かに、孫が自分たちのせいで拉致監禁されたと言うのは由々しきことだ。

春樹がいなかったら、恵理夜は未だに監禁されたままだったかもしれない。