執事と共にバレンタインを。

「……確かに、お嬢様の仰った通りですね」

「でしょう」


不可解すぎる光景に困惑の色を隠せない春樹だった。


「チョコレートで抗争なんて、聞いたこともないですが……」

「これは、どう見てもチョコレートで抗争が起こってるわよね」


窓の外では、二枚目とは程遠い厳つい顔つきの男たちがチョコレートを巡っていがみ合っている。

恵理夜は、改めて馬鹿馬鹿しさを感じながら、テーブルに置かれたの箱を取り上げ、蓋を開けた。