執事と共にバレンタインを。

「どうも、これが目的だったみたいなのよ」


と、恵理夜はかばんから白い箱を取り出し、テーブルの上においた。


「一度、大旦那様にご相談されてはいかがでしょう」


春樹は、手当てされた頬の具合を確かめながら言った。


「そうね。でも、ご祖父様に相談する前にまずは、叔父様に声を掛けてみるわ」


組長《カシラ》である祖父にいきなり報告するのは気が引けた。