。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。


そういやあいつはここに来たことあるのかな?


「なぁ叔父貴」


あたしは前を歩く叔父貴に話しかけた。


「あいつ…メガネってここに来ることあるの?」


「メガネ?」


叔父貴は目を細めてちょっと考えるように小首を傾げた。


「あーっと、あいつだよ。ホタテだか、アサリだとか言う名前の」


「―――ぁあ、戒のことか?」


頭の中で神経回路が繋がったという感じで叔父貴は手を打った。そして口の中で「ホタテって」と言い小さく笑った。


「そう!あの貝がら野郎!あいつ…叔父貴に何かしてねぇか!?」


昨夜の会話を思い出す。





「僕が興味あるのは琢磨さんだけだよ」




恥じることなくあいつはしれっと言いやがった。


「何かって……?」


叔父貴が怪訝そうに眉間に皺を寄せる。


そ!そんなことあたしの口から言えるかぁ!!


すると叔父貴は眉間の皺を取り去り、ふっと笑った。


「戒がお前に何か言ったか?だったら気にするな。お前をからかって遊んでるだけだ」


からかって……?


そんな風には見えなかったけど。


あいつ、叔父貴には何も伝えてないんだな。




叔父貴もメガネの気持ちに気づいていないようだ。



そのことにちょっとほっと安堵する。