メガネには適当な言い訳をして先帰ってもらって、あたしは今叔父貴の住んでる都心のタワーマンションに来ていた。
ここの最上階が叔父貴が住んでる部屋だ。
広いエントランスホールに24時間コンシェルジュが在中している。
本格的な億ションとかいう奴だ。
あたしはフロントの前を素通りすると、コンシェルジュが丁寧にあたしに頭を下げる。
あたしみたいな女子高生にまで気を遣って、大変な仕事だぜ。
9桁あるキーパッドで部屋番号を押すと、叔父貴の部屋に繋がるという仕組みだ。
『上がっておいで』
叔父貴はあたしが何も言わないうちに、それだけ言った。
優しい低い声。
く~~~大好きだっっっ!!
4台あるエレベーターの一つが降りてきて、中から若い男が降り立った。
あたしが気づくより先に、そいつが口を開いた。
「お嬢?会長に御用ですか?相変わらず仲がよろしいですね」



