「わ。せっかくキョウスケにつけてもらったのに」
リボンを直そうと何とか手をこまねいたけど…
あたし、どんだけ不器用よ!
リボンはあっけなく解けて、おまけに縫い付けてあった場所からぽろりと取れてしまった。
「あ~~~!」
慌ててマクラの頭を除くと、3cmほどぱっくりと割れ目が開いている。
!!
嘘っ!マクラ~~~!!
叫びだしたい気持ちを抑えて、マクラの頭を見ると、割れ目の間から白い紙切れがちょっと覗いていた。
何だろう?
その紙切れをちょっと引っ張ると、マクラの中から小さく折りたたんだメモ用紙が出てきた。
びっくりしてそのメモ用紙を恐る恐る開くと、中にキョウスケのきれいな字でこう書き綴ってあった。
“お嬢へ
今日大学で例の注射器の中身を調べました。
中身は“ディプリバン”という一般的な麻酔薬でした。12mlと言う容量から、致死量には至らない量です。
今日御園医院に確認したところ、ディプリバンもあの注射器も一般的に出回っているもので、あの病院も取り扱いがあるようです。
はっきりとした出所は今調査中ですが、何せ一般的に広まっているものなので、最終的な出所を掴むのは難しいかと。”
あたしはメモを握ったまま、目を見開いた。



