「―――翔、あたしを見つけて。あたしを捕まえて。そしたらキスしてあげる」


シーツの波の中でどこからともなく百合香の声が聞こえる。


俺はまたもちょっと笑った。





「俺の目はいつだって百合香を見ている。いつだって君を追ってる。


知ってるくせに―――」





シーツの合間に、それと同じだけ白い色をした腕を見つけた。腕を掴み、シーツを退ける。


シーツの端から百合香の顔が覗いた。


悲しそう、寂しそうに彼女は少し笑った。


「………知ってる。だって、あたしもいつもあなたを見つめていたから」


百合香の白い両腕が伸びてきて、俺の首に巻きついた。


「翔の肌って暖かいのね。このままあなたの熱で―――溶けてしまえたらいいのに……」





あの夜



俺は罪を背負った。







最初で最後の




過ちだった。







愛しい人―――あなたはもうこの世に



存在しない。





それでも俺はいつもどこかで君の面影を探している。




でも今は君の残した忘れ形見を、望めばいつでも眺めることができる。






朔羅―――






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