「逃げ出そうと?…なんで…?」


「おおかた注射が怖かったんじゃないですか?ったく、虎間の倅だと思って大目に見ていたら、ガキみたいなことしやがって」


蛇田がやれやれと言った感じで、肩をすくめる。


注射……


そうだ!あたしたちを襲ったあの男から奪った注射器……今は確か…キョウスケが持ってる筈……


あたしはちらりとキョウスケを見た。


キョウスケと目が合うと、こいつは無言で首を横に振った。


今は…注射器の存在を隠すのがいいようだ。


あたしはキョウスケの無言の答えに小さく頷いた。





姐さんがすっと立ち上がる。


「ちょっと!鴇田はん。聞き捨てならんこといわはったね」


「私はありのままを言っただけですよ。病院を抜け出したのは事実でしょう?」


姐さんがつかつかと鴇田の方に歩み寄った。


な、何やらまたも怪しい雲行き……


ね、姐さん何する気なんだろう。





でも口出しできない雰囲気に黙っていると、姐さんは何を思ったのか鴇田の股間をいきなり鷲掴みにした。






「x=△xx◎*=□@*△!!」






鴇田が言葉にならない声を上げた。










「「「「―――――!!!」」」」