姿を確かめるまでもない。


その声はこんなときにも関わらず、ドキっとするような色っぽくて背中を逆撫でするようなゾクゾクする低い声。


腕を組んだ叔父貴がゆっくりと暗闇から姿を現した。


凛とした立ち居姿。叔父貴の影がすぐ近くまで伸びていて、あたしは思わず身を一歩後退させていた。


「命令……って……」


戒がごくり、と喉を鳴らした。


あたしの額にいやな汗が浮かんではこめかみに流れ落ちる。


そろりと戒の方を見ると、戒は眉間に皺を寄せ、叔父貴を睨んでいた。


「クーデターじゃなければ、俺達三人を始末するってことですか?理由は?」


冷静すぎるほどのキョウスケの声に、叔父貴がぴくりと反応した。


始末!!?叔父貴はあたしを殺そうっての!??何で!!!


「始末……?」


その声はびっくりするぐらい低くて、鳥肌が立つほどの恐ろしさを感じる。


叔父貴は口の端で、ふっと涼しく笑った。


だがすぐに真顔に戻ると、







「このバカどもが―――!!!」








とまるでこの狭い階段室を揺るがすような怒号が響き渡った。