よ、ようやった―――??
戒はイタそうに額に手をやっている。
「朔羅ちゃん♪うちのことほんまのお母はん思てな。いやあ、こんな可愛い娘が出来るなんてお母はん幸せやわ」
そう言ってぎゅうぎゅう抱きしめてくる。
こ…これは……気に入られた??
で、でも!!苦しい!!
お母様!胸っ!!胸が当たってるんですけど!!
豊満なバストに窒息死させられそうになって、ようやく戒ママはあたしを解放してくれた。
「うちな。ほんまに女の子が欲しかったんどすえ。そやけども生まれてきたのはくそ可愛げのない男ばっかりで」
「悪かったな。くそ可愛げがなくて」
戒はあからさまに表情を歪め、腕を組んでいる。
「それよりおかん!あんた何しに来たん?」
「母親に向かってあんたとは何様え!」
また…っと言うか、今度は戒ママの鉄拳が戒の腹に埋まった。
戒は小さく呻いて体を折る。
あたしは二人を見比べて、目をぱちぱち。
美人なところは一緒だけど―――どー見ても似てない…ってか、親子には見えないんだよね。
それに…戒が使う関西弁とはびみょ~にイントネーションや、喋り方が違うって言うか……
「かなんわ。そないなにじっと見られたらお母はん照れちゃう」
あたしの視線に気付くと戒ママは体をくねくねさせ、またもあたしをぎゅっと抱きしめる。
「朔羅から離れろ!これは俺の彼女や!」
戒がママからあたしを奪うように、抱き寄せた。しかし、その腕をすかさず戒ママが奪う。
「うちの娘や!!」
あのー……これはモテてるっていう内に入るの??
俺のや!
うちの!!
そんな言い合い、って言うか取り合いをしていると
「朔羅は俺の姪だ」
と叔父貴の冷静かつ威圧的な声が振ってきて、その場がしんとなった。



