真正面から見る和服美人は……
うぉおおおお!!すっげー美人!!!
歳の頃は30前後かな?大きな猫みたいな目に、白い肌。真っ赤な口紅がよく似合う。
銀座の高級クラブのママさんみたいな迫力美人だ。
「待ちぃや」
和服美人がつかつかと歩み寄ってくる。
歩き方も…しとやかで上品な大人の女を思わせる……
って、冷静に状況中継してる場合じゃない!
今っ!!「待ちぃや」って関西弁で言った。しかも意外にドスが利いた迫力ある声。
リアル極妻を思わせる、その筋の人―――?…のような気がする。
ってことは戒の知り合い―――!!?
「あちゃー…」
戒は苦いものを噛み締めるように、表情を歪めた。
和服美人が戒の両肩を乱暴に掴んで、前を向かせる。
「あんた!久しぶりに会おうた言うのに、挨拶もなし??」
和服美人が勢い込む。
やっぱ知り合い??
それもちょっとやそっとの……知り合いじゃないみたい。
「戒……この人、知ってる人?」
あたしの質問に、戒は観念したように顔を覆った。
「俺の。
俺のおかんや」



