ゆっくりメガネのことを考えてる暇がなかった。


って言うか、すっかり忘れてた。


ま、そんな存在なんだな。きっと。


でも、メガネ2号から助けてもらったのもあるし、今日はあいつが好きだと言っていた(というよりリコのアンケートに書いてあった)ご飯を茶碗に大盛りにしてやった。


「あー!!お嬢っ。メガネの俺より飯が多いっすよ!!」


「あ、ホントだ!」


「贔屓ですかい、お嬢」


メガネの茶碗を見て、野郎どもが口々にわぁわぁ喚いた。


あたしは食事の乗った縦に長いちゃぶ台を一叩き。


皿が机の上で飛び跳ねてガシャン!と派手な音を立てた。


でも奇跡的に上に乗ったおかずはこぼれることなく、きれいに皿に収まった。


さっすがあたし♪


「うっせーぞ!てめぇら!!文句があるなら飯は抜きだっ」


あたしの一喝で場はしんと静まり返った。


隣でメガネが驚いたように目を丸めている。



「「「へ、へい。すいやせんでした!!」」」



「ったく、おかわりならいくらでもあるのに」


「そういう問題ではないんじゃないかな」


と何故かクスっとメガネがあたしの横で、笑みを漏らした。


不思議だ。


何となく、分かってないなぁなんてバカにされたようだけど、メガネの笑顔はちっとも嫌味じゃない。



バカにされてるんじゃなくて、可愛いなぁ、そんな風に聞こえたのはあたしだけなのか……