言ってしまってからすっと心が楽になった。


………気がする。


「だけど勘違いしないで。あたしは別に朔羅に恋愛感情を抱いてるわけじゃないから」


龍崎くんは大きな目をすっと細めた。


ドキリ…


あたしは……まだ、優しい龍崎くんの顔しか知らない。


ホントは怖い人。


ホントはあたしが思っているような優しい人じゃない。


ホントは未だに信じれないよ。


こんな爽やかなイケメンなのに、背中にはテレビの中でしか見たことのない驚くほどの刺青があって。


喧嘩が強くて。


おまけにヤクザだったなんて。




でも…こんな表情されると、やっぱり龍崎くんて怖い人なんだって改めて思う。



年季の入った睨みだなぁ。


ドキドキ…違う意味で心臓が大きく音を立てていると、龍崎くんは出し抜けにふっと笑った。


いつものフワフワした優しい笑みじゃなかったけど、


涼しく笑うこの笑顔は、違う意味でかっこいい。


様になってるって言うのかな…







「朔羅は幸せもんだな。こんないいダチを持って」







ゆっくりとした仕草で腕を組んで、龍崎くんはあたしをまっすぐに見据えてきた。



茶色い瞳が、穏やかに揺れている。