何触ってンだよ!


俺のものに勝手に触るんじゃねぇ!!


「ちょっと…離してよ…」


朔羅は明らかに迷惑そうに顔を歪めていた。


「おい…いい加減に……」


一ノ瀬が腰を上げるより早く、






「何触ってンだよ」





俺の手の方が一足早く、メガネ野郎から朔羅の腕を奪うようにこっちに引き寄せた。


咄嗟のことで、声を変えるのも忘れたぐらい。


俺は怒っていた。


周りの生徒たちが俺たちを注目する。


「え……龍崎…?」


メガネ野郎が俺の剣幕に気圧されるかのように、身を引いた。


だがすぐに俺をちょっと睨み上げると、


「何で龍崎が出てくンだよ?関係なくね?」と面白くなさそうに唇を尖らせた。


確かに……


俺と朔羅が付き合ってることは言っていない。


別に秘密にするとかしないとか、特に話し合ってはいない。


だけど、朔羅は付き合ってることを言われたくないだろうな、なんて思う。


周りの女子のやっかみとか妬みとかが激しそうだし、恥ずかしいとか言われそう。





短い間に色々考えて……



握ったままの手を、俺は離そうとした。