戒の腕の中は温かくて、すごく安心する。


怖い―――


なんて微塵も思わなかった。


思えば不思議なぐらいいつだってそうだった。


最初のおでこのチューはびっくりしたけど、虎間との暗闇の中でのキスや、メガネに布団に引っ張り込まれて抱きしめられたときでさえ、


あたしは何故かドキドキして


安心したんだ。




それにこいつはいつだってあたしを護ってくれた。


こんな可愛げのないあたしを女として





護ってくれた。




戒の腕に込めた力はこれからもずっとずっと護ると誓っているようだった。







どんな愛の言葉よりも



あたしはこの腕の温もりに愛を感じる。






あたしはこの人を好きになるかもしれない。





それは小さな予感だった。