戒は片膝を立てて、掻き抱くようにしていた。


腕の上に顎を乗せ、何かを考えるようにじっと一点を凝視している。


深く眉間に皺を寄せ、その目は険しく光を帯びていた。


きれいな金色の目だ。


雪斗の目つきに似ているのに、それは全く違う。


雪斗と同じようにあたしを「好きだ」と言ったのに、でも全然嫌じゃなかった。





あたし……嬉しかったんだよ…


ドキドキもした。



だけどこれ以上一緒に居ると、あたしはあんたを傷つける。



だから―――




こんなあたしを




好きになんてならないで。







そう思ったら涙が出てきた。



悲しくなんてない。


辛くなんてない。


だって雪斗が生きていたあのときの地獄を知っているから―――あたしは今こうしてられるんだよ?



でも何でかな……



あたしは叔父貴や戒の優しさに触れて


包まれたから



辛い地獄を一時忘れてたみたい。




繋いだ手がまた離れていくのが、こんなにも辛いことだったなんて―――






知らなかったよ。









ふいにフワリと温かい何かが覆いかぶさった。