「何で殺したか…聞かねぇの?」


「聞いて欲しいの?」


メガネのときの声音だった。


その優しい声が―――今のあたしにとって


慰めにもならない。




「聞いたらあんたどん引きだぜ?」


あたしは襟から手を離すと、戒の体を軽く押しやった。


力を入れてなかった戒が、わずかに後方によろける。


だけど戒はすぐに体制を直すと、襟元の皺を直した。


「まぁ興味深い話ではあるな」


ちょっと笑みを湛えると、虎間のくすぐるような低い声で囁いた。


あたしの話を聞いていつまでそう余裕ぶっこいていられるか―――


見ものだな。


あたしはふっと笑みを漏らした。






「先代は叔父貴の実の弟で、名は



龍崎 雪斗(リュウザキ ユキト)って言うんだ」




「へぇあいつ弟居たの?そのことには何も触れてなかったな。お前からするともう一人の叔父貴ってとこ?」




あたしはゆっくり頷いた。