「今はさ、まだこんなおもちゃみてぇな指輪しか買ってやれんけど、俺はいつかお前にごっついダイヤの指輪プレゼントしたる。
お前を世界一幸せな花嫁にしたるからな。
だから今はこれで堪忍な」
ちょっと赤らめて恥ずかしそうに顔を背ける姿も、
「行こうぜ」と当たり前のように握ってくるその手も。
ゆっくりした足取りであたしの歩調にあわせてくれる足も。
こいつのすべてにあたしは今ドキドキしている。
あたしは
世界一幸せな花嫁になることを望んでないよ。
指輪だってダイヤの指輪より、今くれた桜の指輪の方がずっと可愛くて素敵だよ。
あたしは
繋いだ手を離したくない。
このまま時が止まればいいのに。
忌まわしい過去や、裏切りの果ての醜い現実、先の見えない未来を
全部全部
止めて―――