「お待たせ♪」
あたしのすぐ隣で何かを話しこんでいた戒があたしの腕を取ってぐいと立たせた。
「彼女、いい彼氏持って幸せだね~♪」
店の兄ちゃんが意味深ににこにこ笑っていた。
「か、彼氏じゃない!」
あたしは顔を赤くして兄ちゃんを睨んだ。
「彼氏になる予定じゃん♪って言うか嫁に☆」
「だ!誰がてめぇの嫁なんかっ!!」
あたしの発言に兄ちゃんがびっくりしたように目をぱちぱちさせてた。
「猟奇的なカノジョなんですぅ」
戒はにこにこ笑ってあたしの背中をぐいと押して、歩かせた。
ってか!しつこいようだけど!!あたしは彼女じゃないしっ!!!
それでも
何故かつないだ手を離せないでいるあたし……
でも
これからどうしような。
行く宛てもないし。
普通のカップルってどうしてるだろな??
っつうかカップルじゃねぇし!!
そんな自問自答を繰り返していると、隣で戒がのんびりと片手を上げた。
「見てみ。すっげ~空キレイ」



