店に出ると戒があたしの隣で
「ん」
と短く言って手を差し出してきた。
「は?」
もしかしてさっきのマック代寄越せって??そう言えば払ってなかったな。
しょうがない。
そう思って鞄を開けて財布を取り出そうとすると、
「そうじゃない。手。手繋ごうぜ」
と戒がおもむろにあたしの手を取った。
骨ばった大きな手。あったかくて……
じゃない!!
「何すんだよ!つなぐかよ」
あたしは叫んで、バッと手を振り払った。
「ふーん…」戒は何か企んでいるのように目を細めた。
「んじゃこっちがご所望?」
そう言ってぐいと肩を寄せられ、あたしの体はあっけなく戒の胸に埋まった。
「バ!バカっ!!そんなんもっと恥ずかしいだろ!!!」
「じゃ手繋ぐ?どっちか選べよ」
耳元で低く囁かれて、あたしの心臓がびくりと跳ねる。
「どっちもヤダ!」
そう怒鳴って戒の体を押しのけようとしたけど……
ドキドキして力が入んない。
もちろん戒の体はびくともしない。
「どっち?」
戒が意地悪く笑っている。



