戒はあたしの目の前でまたにやりと不敵な笑みを湛えた。
「ちょっとは惚れた?」
そ…
「そんなわけあるかぁ!!」
あたしは怒鳴った。
ったく!冗談かよ……
あたしは苛々してジュースを勢い良く吸い上げた。
でも
たぶんあれは本心だ。
冗談ぶって笑ってるけど、それはあいつが身に着けた処世術だ。
哀しいことも辛いことも、笑ってりゃ吹き飛ぶ。
そう言われた気がした。
あたしは戒のそうゆうとこ……
キライじゃない。
―――ってもあたしが好きなのは昔も今も
叔父貴だからな。
赤くなったり青くなったりで忙しい顔を両掌で鎮めると、あたしはちょっとだけ複雑に表情を歪めた。
戒はほんのちょっとだけ顔を赤くして真剣なまなざしであたしをまっすぐに見てきた。
またこいつは何か企んで……
でも―――逸らせない強い視線―――
琥珀色の瞳の中に金色の光が宿っている。
あたしの好きな
瞳の色だ。
「俺が超えたる。
龍崎 琢磨を超えてお前を気持ちごとかっさらってやる。
だからほんまに
覚悟しいや」



