「あたしはリコを裏切ることが出来ないよ…」
あたしは顔を伏せると、スカートをぎゅっと握った。
目の前で戒が「はぁ?」と不機嫌そうに表情を歪めた。
「何でそこで川上が出てくンだよ?」
「だってお前は気づいてないかもしれないけど!リコはお前のことが好きなんだよっ!」
戒は面白くなさそうに頬杖をつくと
「ふーん」と興味なさげに呟いた。
「ふーん…ってそれだけかよ!」
あたしがちょっと怒って顔を上げると、戒は睨みを利かせた顔をあたしに向けていた。
思わず引き腰になる。
「川上が俺のこと好きだから、あいつと付き合えって?俺お前が好きって言ったばかりだよな?」
「う゛」
あたしは詰まった。
確かにそんな理屈が通るわけない。
人の気持ちを強制的に向けるものでもない。
「でもリコは真剣に……」
「川上は確かに俺に懐いてる気はするけど、それは単にかっこいいとか優しいとかそういうところから来る憧れみてぇなもんだよ」
戒はそっぽを向くと面倒くさそうにあさっての方を見ている。
イラっ
心の中でちっちゃな怒りが湧いた。
「てめぇにリコの何が分かるってんだよ!」
思わずドスを利かせて戒を睨み上げた。



