「か、戒さん……」


事態を傍観していたキョウスケが心配そうに戒を見た。


「あ~……どうしよね?バレちゃった?」


ムカツクほど爽やかで可愛い笑顔を浮かべるのは―――やっぱりメガネのそれだ!


「ってか!おめぇキョウスケとはどういう関係なんだよ!」


あたしは戒に勢い込んだ。


「あ~……あいつぁ…」言いにくそうに戒が口を噤む。


「幼馴染ですよ。戒さんとは」


キョウスケがヘルメットをバイクの座席に置いて、つかつかと歩いてきた。


相変わらずの無表情。


何考えてるのか全く読めねぇ。


ってか!幼馴染ってこいつら元々から知り合いだってぇの!?


キョウスケはあたしの前まで来ると足を止めた。


あたしは、らしくもなくひるんで思わず一歩後退する。


正直こいつは計り知れねぇところがあるからな。


キョウスケが着ていた黒い革ジャンに手をかけて、おもむろに脱ぎだした。


何だ?やるってのか??


あたしは小さく拳を構えた。


だけどキョウスケはあたしの予想とは反して、着ていた黒いカットソーを脱ぎだした。


「な!!」


何脱いでんだよ~~~!!


カットソーを地面に放り投げると、ゆっくりとした動作で振り返る。





背中には鷹の紋が入ってた。





大きな羽根を伸ばし、その伸ばした羽根が肩の向こう側に伸びていた。


鋭い爪とくちばし。




「騙しててすみません。俺は白虎会直系鷹雄組、十四代当主鷹雄 耀司(タカオ ヨウジ)の跡取り、鷹雄 響輔です」