「チョロい」


ふふんと鼻を鳴らし俺は区役所の階段を降りた。


しっかし……


「朔羅もしつけぇな」


俺が虎間かどうか―――ここ最近あの手この手で探ってきてやがった。(響輔にまで探りを入れやがって)


何とかかわしたけど……まさかここまで来るとはなぁ。


誰かに入れ知恵されたに違いねぇ。


今日帰るとき朔羅の様子がおかしかったから、先回りして手を打っといて良かったぜ。


「さて―――…っと」


俺はポケットに手を突っ込むと、一枚の封書を取り出した。


TOKYO CANCER CENTERと書かれた白い封書だ。


「今度はこっちか」


まったく……手のかかる二人だぜ。




―――


俺はその足で龍崎 琢磨の会社に向かった。


ここの受付嬢はみんな綺麗どころだ。


おまけに親切♪


俺が「龍崎会長にお会いしたいんですが…」なんておずおずと言うと、


「あら♪この間の…」と言って簡単に会長室に案内してくれた。


俺がノックもせずに入ると、


すでに会長室にいた龍崎 琢磨とその側近、鴇田(トキタ)がはっとして俺の方を向いた。