あたしの登場にタクがびっくりしたように目を丸めた。
ソファに座った女も涙目になってあたしを見上げる。
「お、お嬢……」キョウスケも心配そうにあたしの袖を軽く引っ張った。
「てめぇタク!!うら若き乙女を風俗店なんかに売り飛ばそうとしやがって!!てめぇは男の風下にもおけねぇな」
「お嬢…それを言うのなら風上です」
キョウスケがはらはらした面持ちであたしに耳打ちした。
「か……どっちでもいいだろ!!」
「お嬢、しかし……」
タクはあたしのいい間違いを指摘せず、困惑した表情であたしを見た。
女はあたしが彼女の味方か敵かまだ把握しきれてないようで、タクと同じように困惑したように視線を行ったりきたりさせている。
ま、あたしだって分かんねぇけどな。
借りたもんは返すってのが世の中のジョーシキだ。
だから返せないっていうのはやっぱり間違っている。
間違ってる…けど。
「一週間、待ってやれよ」
「しかし……返済期限を一日でも過ぎたら全額返済してもらうのがうちの規則でして…」
「ガタガタうっせーな。一週間待ったんだろ?だったらもう一週間どうってことねぇよ」
あたしは腕を組んで受付のカウンターから応接セットの方へ回り込んだ。
「しかし…この女。20万返さずトンズラするかもしれやせんぜ」
「バックレたときはその時だ。でもあたしはこの人を信じる。第一トンズラするんならもっと早いうちに逃げてんだろ?それをわざわざ30万持ってここへ来たんだから、それなりの覚悟と勇気を持ってるってことだ。
一週間、待ってやれ」



