あちゃ~……
タイミングわりぃ。
こそこそと事務所に入ると、事務所机で電話番をしていたキョウスケが顔を上げた。
あたしを見つけると、バツの悪い表情を浮かべる。
「すみませんっ!!もう一週間、待ってください!!必ず!必ず何とかしますので」
若い女だ。たぶん20歳前後の。
タクの迫力にやられて、可哀想に…ぶるぶる震えて顔を真っ青にしている。
「前回もそう言ったよなぁ。親切な俺ぁそれで一週間待ったってんだよ!それでそろえられたのはこれだけかっ!!」
「あと一週間!どうかっ、どうかお願いします!!」
震えながら応接の机に手をついて頭を下げる女をタクはじっと睨んだ。
「姉ちゃん、俺ぁな。こう見えても短気なんだよ!!」
こう見えて…って、まんま短気じゃねぇかよ。
と心の中で突っ込む。
「……どうすると思う?」
あたしはこそっとキョウスケに耳打ちをした。
書類に何かを書き込んでいたキョウスケは、相変わらずの無表情でペンを置くと、
「まぁあの器量ですからね、風呂に沈めるって言ってましたよ」とサラリと言った。
風呂!!←つまり風俗店に売り飛ばすってことだ。
「姉ちゃん、あんたなかなか美人じゃねぇか。出来ない金は今すぐ作ってもらおうか」
タクが腰を上げた。
ちょ……
「ちょっと待て!!!」
あたしは思わず叫んでいた。



