ト、虎間さんだとぅ!!


リコ、あんたその名前どこから拾ってきたんだよ。


「朔羅が言ってたジャン。トラマって」





あの会話…あたしなりに小声で喋ってたつもりだったけど、一部が聞こえてたみたいだ……



「あ~~~…もう一度お会いしたいな!トラマさん♪」






ガタタッ!






あたしの前の席で、派手にメガネがズッコけた。


鞄の中のノートやら教科書やらが散乱している。


「ど、どうしたの!龍崎くん」


リコが心配そうにメガネの元に走り寄った。


「おいおい、大丈夫かよ」


と千里も身を乗り出した。


「なぁに、やってんだよ。お前は」


あたしはメガネにこそっと呼びかけると、散らばった教科書を拾い上げる。


「あ、あたしが違う男の人の話したから?」


と、突然リコがぶっ飛んだことを言い出した。


「は…ははっ……」


そんなリコの爆弾発言も心ここにあらずという感じで、メガネは無理やり空笑いして慌てて教科書を拾いはじめた。







なんだこいつ。


変なヤツ……