「あぁ!!あたしのアザラシがっ」


あたしはアザラシを抱き上げると、慌てて形を整えた。


「ホントにすまん」


起き上がりながら、叔父貴は深々と頭を下げた。


って言うか、寝るとき枕はちゃんとあったよな??


ちょっと大きめの枕で、あたしと一緒に使ってた筈…


一緒に……


何かその響きエロい!!



キャ~~~!!


考えただけで、身もだえしそうだった。


「ま、枕は?」


動揺をごまかしながらあたしは聞いた。


「あぁ、お前に奪われたからな」


そう言ってあたしの腕を軽く持ち上げる。


あたしの腕の中に枕がしっかりと抱きしめられていた。


どうやら枕を奪ったのはあたしだったみたいだ。



「あ、あはっ…!ごめんね」


「お前の寝るときの癖だよな。もう慣れたけど、昨日は首が痛かったんだ。だからこいつを借りたってわけ」


そう言ってあざらしのシッポをちょっと引っ張る。


叔父貴の枕になっていたアザラシはまだちょっと形がいびつだったけど、それでも何だか幸せそうに口を綻ばせていた。


「よし!決めた!!命名、お前は今日からマクラだ」


あたしはあざらしを抱っこすると、こいつに向かって口を開いた。


隣で叔父貴が笑っている。


「お前、すぐそうやって変な名前つけるのな。おもしれぇ」



何とでも言って。


どんなくださらないことでも笑って?




だってこんなに幸せな朝って今までになかったから―――