畳の上に脚を投げ出しごろりと横になると、俺は腕を組んで頭の下に組み敷いた。


「……戒さん」


襖の向こう側で響輔の遠慮がちな声が聞こえた。


誰にも聞かれないよう、声を押し殺して。


俺の返事を待たずに響輔は襖をすっと開けた。


「何だよ」


俺はぶすりと答えたが、響輔は気を悪くした様子はなかった。


というか、こいつが何かに苛立ったり、怒ったりするのをあんまり見たことがない。


“昔”から。


響輔はふっと笑うと、俺の足元にしゃがみこんだ。


「やっぱり、拗ねてるんですね」


「やっぱりって何だよ。やっぱりって」


響輔はクスクス忍び笑いを漏らすと、


「相変わらず分かりやすい人ですね」と言った。


「分かりやすいも何も、ガキん頃から一緒にいるんだ。分かるもへったくれもねぇだろ」


響輔は小さく笑みを漏らすと、朔羅から受け取ったケーキのラッピングを俺の前にずいと差し出した。



「……何だよ」


「これが欲しかったんでしょ?あなたに差し上げます」