「なんっだ、てめぇはよ!?この前から」
キモ金髪野郎の怒りの矛先が千里からメガネに移った。
キモ金髪野郎がメガネの制服のむなぐらを掴む。
場が一層騒然となった。
まずい!
あたしは今度こそ勢い良く席を立ち上がった。
それと同時に
「こらっ!お前たち、何をしている!!お前3年の生徒だろう。何でここにいるんだね」
隣のクラスの担任が血相を変えて、飛び込んできた。
どうやら誰かが近くにいた教師を捕まえたらしい。
「ちっ」
キモ金髪野郎は大げさに舌打ちすると、取り巻きたちを引き連れてぞろぞろと引き返していった。
「君たちも、もう授業が始まる。戻りなさい」
先生の声で、しんと静まり返って止まっていたクラスメイトたちがそれぞれに散っていった。
「リコ、ごめん……怖い思いさせちゃって」
「ううん、あたしは大丈夫」
リコはちょっとぎこちなく笑うと手を振って自分の席に帰っていった。
「千里も……。サンキュな」
千里はにぱっと笑うと気にしていない様子で、
「いいってことよ。ま、お前が本気だしたらあんな奴ら3秒で追い払えるだろうけど。
学校でお前を護るのは
俺だから」
とさりげなく言い残して、帰っていった。
千里……いい奴……
カタン
席を戻す音がして前を見るとメガネとばっちり目が合ってしまった。



