「っとに、ケータイどこだよ?」
ちょっと苛々しながらもう一度ソファを覗くと、背もたれと座席のクッションの間に挟まってやがった。
「手間かけさせやがって」
と悪態を付くものの、ケータイを見ては顔を綻ばせ、開いて叔父貴とのツーショットを見てはにやける。
重症だぜ。
あたしはいそいそとケータイをしまうと、もう一度寝室を覗いて叔父貴がまだ眠ってることを確認してマンションを後にした。
――――
時計は夜の11時を差していた。
ゲ。もうこんな時間。
家には遅くなるって連絡がしてあるけど、あたしの古いケータイの方には着信が何件かあった。
マサはもちろんのこと、タク、アツヤ……と組のもんの着信がずらりと並んでる。
あ、蠍座キョウスケのもある。
一番新しいもので080-xxxx-xxxxという番号があり、あたしは首を捻った。
誰だこれ。
ま、いっかぁ。
って良くないか。あたしは龍崎家直通の家電に掛けると、ワンコールでマサが出た。
『お嬢!大丈夫ですか!?』
えらく急き込んでる。
「叔父貴んちにいるって言っただろ!大丈夫に決まってる」
『いやぁ、あんまり遅いんで心配したっす。迎えに誰かやりやしょうか?』
「いや、いい。歩いて帰る」
『でも……』尚も渋るマサに、
「ガキじゃねんだから大丈夫だって。お前らは先に寝てな」
あたしはむっつりと答えて、通話を強引に切った。
まったく。
あいつらは過保護なんだからっ。



