梶山書店物語〈零〉

そうは、させるか!と東雲さんの腕を掴んだ。

あまりにも勢いよく掴んでしまったのか、東雲さんは、後ろに倒れかけそうになっていた。

「うげっ…」

俺の固い胸にドンっと受け止めたのはいいけど…東雲さん物凄い声出てたな。

「急に掴んだから、よろけちゃいましたね」

まだ俺の胸の中にいる東雲さん、体を捩りながら抜け出そうとしている。

もうちょっと、このままでいたいなぁ。