「隆彦」 「ん?」 隆彦が訊き返してくる。 その顔にはいつもの彼の面影はさっぱりなくなっていて、威圧さえも感じた。 やっぱり、怒ってるのかもしれない。 戸惑うあたしだったが、勇気を振り絞って言った。 「ごめんね」 あれから、なぜ隆彦が怒って傷付いて先に帰っちゃったのか、考えた。 そのことを一晩中考えていたせいで、昨日寝るのが遅くなってしまった。 さらにそのせいで、寝坊して学校に遅刻してしまい、その上コートまで忘れちゃったけど、代わりにその答えを手に入れられた気がする。