「麻子ー! 帰ろうぜー!」

翌日の放課後。

チャイムがなると同時に、隆彦があたしの席までやって来た。

「ちょっと待って」

あたしは隆彦にそう言い、さっさと準備をした。

そして一緒に教室を出た。



あたしと隆彦が付き合い始めたのは、ちょうど三ヶ月ほど前だ。

同じクラスだった隆彦に告白されて、なんとなくオーケーしたのがきっかけ。

告白してきたのが隆彦だったせいか、初めは彼があたしにベタボレ状態って感じだったんだけど、一緒に過ごすうちに、あたしも彼の明るさと心の優しさに惹かれていった。

今では彼の気持ちと同じくらい、あたしも彼のことを好きな自信がある。

「麻子、好きだよ」

「うん。あたしも大好き」

「好き」と言うことに羞恥が発動しないあたし達は、しょっちゅうこうやって愛を囁き合っている。

だからといって、その言葉を出し惜しみしている他のカップルより、愛の力が劣っているわけじゃない。

自分の気持ちをうまく伝えることができる素質を、あたし達二人ともがかねそなえている。

それだけだ。