あたたかな温度

 


気付けば、隆彦が自分のコートをあたしに被せていた。

至近距離に見える隆彦の顔と、自分がされていることに恥じらいを覚えたあたしは、顔を紅く染める。


「さっきから思ってたんだけど、その格好寒いだろ? だから、ほら……着ろよ」

寒さのせいか、敬彦の顔も微かに紅い気がする。

「うん。……ありがと」

あたしはモジモジしながらそう言うと、敬彦のコートに顔をうずめた。

コートには隆彦の体温と香水の匂いが残っていた。

その温度と匂いに、あたしの身体は余計熱った。