301号室にに女の子を送りとどけたが

まさか 一人にしておく訳にいかない。

第一、この子はまだ小さい、ほっとけない・・・・

「ママは?」

「私が一年生の時に出て行っちゃったから…」

「じゃあさ、おばあちゃんとかおじいちゃんと

かおじさんやおばさん・・・

・・・とにかく親戚は、近くにいないの?」

「静岡にいる」

「じゃあ電話して。私が状況話すから。」

 「電話番号わかんない・・・」
 
 「電話番号・・・わかんないの?」

「お姉さん、怒ってるの?」

 加奈子が必死で質問攻めにしてしまったから、

余計に少女は不安げな表情になった。

「…ゴメン。あ、そうだ、自己紹介してなかったね。

私、佐伯加奈子って言うの。あなたの名前も聞いて無かったね。」

「亜美、斎藤亜美。今日は、ありがとうございました。」

「あ、ご飯食べてないんだよね?

家においでパスタ作ってあげる。ケーキもあるわよ。」

「パパ…死んだりしないよね?」

「…大丈夫よ。少しの間入院するみたいだけど、

死んだりしないから。お医者さんが守ってくれてるよ。」

「うん。」

「おいで、お腹すいてるでしょ」

「うん」

不安そうにしている女の子が可哀相になり、

加奈子は、自分の部屋でパスタを作ってあげた。

「今夜は、私のうちに泊まる?」

「パパから電話来るかも知れないから帰ります。」

「パパは、今夜はお薬で眠ってるから、

電話は、こないわよ。明日会いに行けばいいわ」

「お姉ちゃん、明日、

パパのところに連れて行ってくれる?」

「え?…えぇ。でも学校は?」

内心、何で私がって思ったが、

不安気な瞳で見つめられるとつい、面倒を見てしまう。

 「学校には遅れて行くから。ね、お姉ちゃん、お願い。」

 「解った。連れて行きます。」

どっちにしろ この子の親に今後どうするか聞かないと・・・

放っておくわけに行かない。