加奈子は、いつも通り仕事を終えて帰ろうと駅に向かった。

 すっかり暗くなり、風も

何だか少しひんやり感じた。

 「そろそろ夏も終わりに近づいてるんだわ」

秋は、ちょっと淋しい季節だ…。

気が早いが、

冬は、もっと淋しくなる。だって、クリスマスも大晦日もお正月もある。

そんな事を思いながら足早に歩いていた。

あ、野澤くん?体格が大きく、後ろ姿がよく似た後ろ姿を見つけた。

よく似てるけど、違う気もする…更に足早になる。距離が近づいたその時

「シュン!遅いよ~20分遅刻だよ!」

可愛らしく着飾った女の子が駆け寄って来た。
 
 「もも、遅れてごめん!」

そんなやりとりが聞こえてきた。

野澤くんじゃなかった。人違い。

 そういや、野澤くんどうしてるかな…

亜美を預かってる時は、毎日顔合わせてたし、一緒にご飯食べたり

色んな事話シタ。気まずかったがあんな秘密も知られた

会いたいな…

普通に素直に、自然にそう思った。

今更、野澤に恋した?

それとも人恋しいだけ??