「お前はまだ新婚だし関係なさそうだけど、結婚したら女は変わるって聞くじゃん」


「なんだよ、それ」


「だからー、途端に所帯じみて節約志向に走ったりして、自分が女であることを忘れんだよ。化粧すらしなくなって近場ならスッピンで出かけるとか。下着だってヨレヨレになってんのに気付かなくてさ、セックスレスな夫婦が増えるのも納得だろ。そんなんじゃ抱く気にもなんねーし。他の女に目がいって不倫に走るってのも、男としては理解できるとこもあると思わねぇ?」


「……まぁな」



思わず自分のブラウスをグイッと引っ張ってしまった。


そしてホッと胸をなでおろす。


よかった……

まだこれ着たの、今日が2回目だ……。


だけど“ヨレヨレ下着”がクローゼットに眠っていないか、今日悠河が帰ってくる前にチェックしようと思った。


そんなことで女として見られなくなるなんてイヤだから。



社長室では、藤堂さん主導の恐怖の会話が続く。


「なぁなぁ。光姫ちゃんってさ、やっぱり黒でヒラヒラ少なめな感じ?」


「何がだよ」


「下着♥」


ズルッと肩が落ちた。


なんつー話をしてんの……この人たち!!


「なんでお前に答えなきゃいけない」


悠河が真面目に反応しなくて安心したのも束の間。


「光姫ちゃんはどっちかって言うとセクシー系なイメージだもんな」


「……」


「お前は以外にフリフリ系のが好きだろ?ピンクのフリルとかさ」


「知らねぇ」




……そうなの?



悠河の趣味って、そうなの!?



あたしの耳は完全にダンボになった。