駅前のカフェは、この辺りでは珍しいオープンテラスのあるお洒落なカフェで、気温が暖かくなると路地側の窓が全て解放される。寒い時期は敬遠されるテラス席も、この時期になるとなかなか座れない人気の席になった。
 美羽は、そのテラス席で小巻を待っていた。休日の昼過ぎのカフェはほぼ満席で、けれど雨が降っているせいか、人気のテラス席だけが空いていた。屋根はあるが、風によっては雨が入ってくるからだろう。

「で、あんたはどうしてここに居るの?」

 美羽は向かいに座っている男を見て、眉を顰めた。