「篠崎って好きなやつ居るの?」
「えっと、居ないけど、別に」
「じゃあ、日曜日遊びに行かない?友達誘って四人とかで。返事はそれからでいいんだけど」
「え、う、ん」

 美羽はそれだけ言うのが精一杯で、高津に言われるがまま携帯のアドレスを交換して、破けそうな鼓動を必死に耐えた。
 高津が短く「じゃあ」と告げて足早に去っていく。高津の姿が見えなくなってから、美羽はその場に座り込み、膝に顔を埋めた。

(どうしよう、どうしよう、どうしよう)