じっとり湿っぽい空気に促され、額に汗がにじむ。どくどくと心臓が脈打つ。

「あの、さ、なんで私なの?」
「あの、うん、可愛いし」

 恥ずかしそうに呟く高津を見て、美羽は顔に熱が集まるのを感じ、とっさに俯いた。耳の奥がどくどくと脈打って煩い。

(うわあ、どうしよう、どうしよう、どうしよう)

 俯いたまま黙り込む美羽に、高津は堪らずがしがしと頭を掻いた。それから大きく息を吸い込む。