「小巻は?」
「ん、しがない専門学生です」
「なんの?」
「えっと、まあ、一応、音楽の」

 小巻は言葉を濁した。

「へえ、小巻はいつも俺の思考の斜め上を行ってたけど、そういうところ変わってないね」

 あっけらかんと笑う総司に、小巻は驚いた。

(絶対馬鹿にされると思ったのに)

 それが嬉しくて、小巻の口元が自然と綻ぶ。思い返してみれば、何事も自然に受け止めてくれる総司の性格には何度も助けられたものだ。