卒業アルバムの最後の見開き一ページは寄せ書きが出来るように白紙になっていて、式を終えた生徒達は友人に書き込みを求めて右往左往していたり、知らない生徒のアルバムが回ってきたり、卒業生の教室は賑やかだった。

「総司で最後だから。総司のアルバムも貸して」

 自分のアルバムがいつの間にか消えて返ってきたばかりの総司は、小巻にそう言われて無言でアルバムを渡した。小巻はそれを見て目を瞬かせる。

「うわ、女ばっか」
「そんなことないだろ。よく見ろよ」

 総司が小巻の持つアルバムを覗き込むと、真っ黒で少し癖のある小巻の短い髪の毛が、ふわりと総司の耳に触れる。