「はー・・・。」

堂島さんのため息に、怖ず怖ずとその表情を見上げる。

「お願いします・・・。」

今一度そう言うと、横目であたしの表情を見た堂島さんの顔が、固まった。

あ、あれ?
何か変なこと言った?

「ど、堂島さん?」

そう声をかけると、はっと覚醒したように、堂島さんは頭を軽く振った。

「・・わ、わあったよ。そんなに嫌なら・・、考えてやる。」

へ?

「ほ、本当ですか!?」

「ただ、カメラとかそういうのをやめるってだけで、監視はするぞ!」

「ええ!?」

じゃあ意味ないじゃん!

「とにかく、学校では絶対に見張るからな。」

「だから言わないってば!」

「だから信用できねえ。」

「だから何でもするって言ってるんでしょ!」

「お前なあ、そんな・・」

「お話中、すみませんが・・、加賀美様、お家はこちらでお間違えないですか?」

カーテンで仕切られた運転席から、そう尋ねられた。

「へ?もう着いたんですか?」

早っ!

外を急いでみると、確かにそこはあたしの家だった。

「あ、はい!ありがとうございます!」

「・・おい、本当にここに住んでるのか?」

堂島さんは、なぜかかなり驚いた表情をしながら、そう聞いてきた。

「?そうですけど。」

「・・本当に人が住めるのか?」

「・・・はい?」

いやいやいやいや(苦笑)

「全然住めますけど。」

はっきりとそう言った。

「小さすぎねえか?」

「あのねえ・・、そりゃあ堂島さんからしたらそうかもしれないけどっ、普通の人が一人で暮らすにはこれが限度なんですっ。」

これだからお金持ちは嫌なのよ!
ばかにしないでよねっ。
あたしにとっては都なんだからっ。